成長痛は、幼児から思春期の成長期に起こるというのは、広く知られています。
その時期の、『子どもの足に出る痛みの総称』を、成長痛 と言います。
成長痛は病名ではなく、特に骨や関節の治療すべき病気を認めない場合の症状の呼び方です。
成長痛の特徴
- 夕方から夜、寝ている時に痛みを訴えることが多い
- 痛みは突然現れ、翌朝には痛みが消えて普通に動けることが多い
- 学校や幼稚園では元気に遊び回ることができるため、先生からは何も言われない
- 痛みの場所や程度は様々で、特定の部位を指すことができない
- 視覚的な腫れや赤みはなく、時間がたてば症状は自然に消えていく
日中は痛くないけど、夜に時々すごく痛がる。
でも翌朝には、普通に動いて遊んでいる。
保育園や学校では、お友だちと普通に遊んでいるし、先生からの呼び出しも、申し送りもない。。。
この子の痛みは何なの?
というケースは、成長痛である可能性があります。
成長痛の原因
成長痛の、はっきりとした原因は分かっていません。
『骨の成長に伴って痛みが出る』という意見もありますが、それは、成長期スポーツ障害と混同されているかもしれません。成長期スポーツ障害については、別ページで詳しく説明をしていますので、ご参考にされて下さい。
成長痛の原因は特定できていませんが、一般的には、『精神的なストレス』、『疲れ』なども影響していると言われています。3歳以降の子供は、骨や筋肉と同様、精神的にも急速に成長します。
何でもしてくれてた赤ちゃん時期 → 自分の事は自分でしなきゃいけない時期
- ご飯を一人で食べる
- 自分で着替えをする
- 歯磨きをする
- 時間に合わせて行動する (やりたい事を我慢する時も)
- 保育園・小学校の集団生活
成長する過程として、大切なコトではありますが、まだまだ小さな子供です。大人と同じく、精神的なストレスによって、症状が出る事もあると思います。
※当院に通院中の、成人の方でもストレスで、食事が摂れないほどの腹痛が出る例もありました。その後、ストレス原因が無くなると、すぐに症状が消失しました。
ストレスは、誰にでもありますが、とても怖い症状が出る事もあります。可能な範囲でお子さんに目を向けてあげて下さい。
成長痛が出る年齢
成長痛は主に3歳から12歳の子供によくみられる症状です。
特に3歳~5際頃に症状が出やすいというデータもあるようです。
世界的なデータで有病率は10~20%と言われています。
成長痛で痛い場所
成長痛は主に、下肢(足)にでます。主な場所は、
- 膝
- ふくらはぎ
- すね
- 足首
- 太もも
どの場所にも起こり得ます。
またこの痛みの場所は、その時によって変わる場合が多いです。
先週は膝が痛くて、今週は太ももが痛いの?
先週と言ってる事が違うじゃん
痛みを訴えるのも、1~2回/月の場合もあれば、1~2回/週の場合もあります。
その痛みの訴えが、数か月以上続く事もあるので、覚えておいて下さい。
もう何が何だか分からない
それが成長痛も特徴です
保護者としては、心配で気が休まらない事もありますが、お子さんとしっかりとコミュニケーションをとってあげて下さい。
成長痛の診断
成長痛の診断は、症状や検査結果に基づいて行われる事が一般的です。
検査には、両下肢のレントゲン、膝や股関節の超音波検査(エコー検査)などがあります。
大切なのは、
何も異常がない事を確認する
という事です。
(左足と右足の画像を比較して検査するのが、一般的です。)
また、診断基準の一例として、以下の条件が試作されています。
いわゆる成長痛(小児の一過性下肢痛)の診断基準作成の試み 横井広道ら、中国・四国整形外科学会雑誌 25(3): 495-495, 2013.
- 疼痛が8時間以上続かない。
- 診察時には症状がない。
- 診察上、圧痛や腫脹などの異常所見がない。
- レントゲン検査で異常が見つからない。
ただし、医学的に確立された成長痛という病気はありません。
あくまでも症状の総称として使われています。
うちの子も、膝が痛いので、成長痛だ!
決めつけは危険ですよ
成長痛かどうかの判断は、医師による診察と検査によって行われます。
子供の足が痛い = 成長痛
ではありません。
また、成長痛と成長期スポーツ障害は違います。
成長期スポーツ障害は、明確な病名があります。
子供の痛みの判断には、成長痛と成長期スポーツ障害などの、他の疾患を鑑別する必要があります。
成長期スポーツ障害は、別ページに書いてありますので、参考にされて下さい。
成長痛の治療
成長痛に、大きな効果が期待できる対処法はありません。
ですが我々、保護者がすべきことは、
成長痛は仮病じゃない。成長痛は痛い。
と理解してあげる事です。
その上で、愛護的に対応してあげて下さい。お子さんが安心するように、そばで対応してあげて下さい。
具体的には
- 軽くさすってあげる
- そばで話を聞いてあげる
- 湿布を貼ってあげる(刺激が強くないもの)
- クッションなどを使って、痛くない体勢をとってあげる
- 抱っこしてあげる(小さいお子さん)
強い刺激が必要なわけではありません。
また、基本的には翌朝には痛みが消えている事が多いのが、成長痛の特徴と言われています。
- 痛みがずっと続いている
- 痛みがどんどん酷くなる
- 痛い部分が腫れる
- 痛い場所が毎回同じ
上記のように、成長痛の特徴と一致しない症状が出ている場合。他の疾患の可能性もあります。そのような場合は、一度整形外科にて診察を受ける事をお勧めします。
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